疾病を知る

過多月経って何?―月経量と貧血の関係について―

2026.07.06最終更新

監修医
イーク渋谷
婦人科 各務 真紀

「ナプキンがすぐいっぱいになる」「最近、疲れやすい」
こうした状態は、過多月経(経血量が多い状態)が原因となっていることがあります。ただし、経血量は他人と比較することが難しく、異常に気づきにくいのが特徴です。ここでは過多月経の目安や原因、治療についてわかりやすくご紹介します。

過多月経とは

過多月経とは、生理の出血量が多く、日常生活に支障をきたす状態をいいます。
月経の量は他の人と比べることが難しいため、「自分の月経量が正常かどうか分からない」という方も少なくありません。次のような症状がある場合は、過多月経の可能性があります。

  • 昼間でも夜用ナプキンが必要になる
  • タンポンとナプキンを併用している
  • ナプキンや月経カップ(20~30ml)を1〜2時間ごとに交換する
  • レバーのような血の塊が出る
  • 経血漏れが心配で外出や仕事に支障がある

どんな症状が出る?

毎月の出血量が多い状態が続くと、「鉄欠乏性貧血」を起こしやすくなります。
鉄は、赤血球の成分であるヘモグロビンを作るために欠かせない成分です。鉄が不足すると、全身へ十分な酸素を運べなくなり、次のような症状が現れます。

  • 疲れやすい
  • 動悸・息切れ
  • 立ちくらみ
  • 頭痛
  • 集中力の低下

また、鉄は脳内の神経伝達物質の働きにも関わっているため、鉄不足によって気分の落ち込みやイライラ、集中力の低下などがみられることがあります。
鉄欠乏は徐々に進行するため、体が慣れてしまい、自覚症状が乏しいまま進行していることも少なくありません。血液検査で貧血を指摘されて初めて、月経量が多いことに気づくというケースもあります。

過多月経の原因や診断方法は?

過多月経の原因は、大きく「子宮の病気によるもの(器質性)」と、「ホルモンバランスの変化によるもの(機能性)」に分けられます。

子宮の病気(器質性)

過多月経の原因となる主な病気には、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープがあり、これらは婦人科で経膣超音波検査を受けることでわかります。

ホルモンバランスの変化(機能性)

ホルモンバランスの変化や排卵障害によって過多月経が起こることがあります。特に思春期や更年期前後では、排卵が不安定になることで月経量が増えることもあります。また、甲状腺疾患や血液の病気(血小板減少症・フォン・ヴィルブランド病など)が背景に隠れていることもあります。
これらの影響がないかは、まずは血液検査で調べ、その後必要に応じて原因を特定する精密検査が行われることもあります。

※血小板減少症は血液を固めて止血する成分である「血小板」が少なくなる病気、フォン・ヴィレブランド病は出血を止める働きを持つタンパク質の量や機能の異常によって引き起こされる遺伝性の出血性疾患です。

貧血の血液検査でみるもの

  • ヘモグロビン(Hb):現在の貧血の程度を示す指標
  • 血清鉄:血液中を流れている鉄の量を示す指標
  • フェリチン:体内に蓄えられている鉄(貯蔵鉄)を示す指標

成人女性では、一般にHb 12.0 g/dL未満が貧血とされます。
血清鉄は食事や採血時間によって変動するため、必要に応じてフェリチンを測定することで、体内の鉄の状態をより詳しく評価できる場合があります。
月経のある女性では、貧血がなくても鉄不足が隠れていることがあるため、症状や月経量に応じて検査を検討します。

過多月経の治療方法

原因となる病気の有無、年齢、妊娠希望、症状の程度、ライフスタイルなどを踏まえて、一人ひとりに合った治療法を選択します。
貧血がある場合には鉄剤による治療も重要ですが、過多月経そのものの治療をしないと、根本解決につながりません。

薬物療法

低用量ピル(LEP)は避妊薬として知られていますが、排卵を抑えることで生理の際にはがれ落ちる子宮内膜が薄くなり、経血量の減少が期待できます。過多月経だけでなく、月経痛、月経不順、月経前症候群(PMS)の改善にも用いられます。
その他、子宮内システム(IUS:ミレーナ)は、子宮内に装着する小さな黄体ホルモン製剤で、経血量の減少や月経痛の改善が期待できます。
また子宮内膜症や子宮腺筋症にはジエノゲスト(DNG)、大きな子宮筋腫にはGnRHアンタゴニスト(レルミナ)などの薬を服用することがあります。

外科的治療

手術療法としては、筋腫核出術、子宮全摘術、子宮鏡手術などがあります。
特に、子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫には、子宮鏡手術が有効な場合があります。

さいごに―受診の目安について―

長年続く過多月経は、「体質だから仕方ない」と思われがちですが、治療によって月経の悩みが軽減し、貧血や疲れやすさが改善する方は少なくありません。
治療開始してから「こんなに楽になるならもっと早く治療を開始すればよかった」という言葉がよく聞かれます。
「月経量が多いかもしれない」「貧血を繰り返している」などのお悩みのある方は、一度婦人科で相談してみてください。

婦人科に行くほどではないかもしれない…と迷われている方のために、当院では「婦人科オンライン相談室」をご用意しています。婦人科の女性専門医が、オンラインでお悩みや症状をお聞きし、今後の受診や治療方針などについて一緒に考えますので、ぜひ気軽にご利用ください。

監修医
イーク渋谷
婦人科 各務 真紀