検査について

胃カメラとバリウム、自分にあった検査はどっち?

2026.07.23最終更新

監修医
イーク渋谷
院長/内科
日下部 裕子

「胃カメラとバリウム、どっちがいい?」健診の現場でよくいただく質問のひとつです。どちらの検査もつらそうなイメージがあり、不安や迷いを感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、それぞれの特徴や向いている人の違い、また負担を軽くするためのイークでの工夫についてご紹介します。

胃の検査は、何歳から受ければいい?

そもそも、胃カメラやバリウム検査などの「胃がん検診」は何歳から受けるとよいのでしょうか?厚生労働省の指針では、50歳以上からの胃がん検診が推奨され、バリウム検査については「当分の間、40歳以上に実施可」とされています。


ただし、日本における胃がんの発症リスク(罹患率)は40代後半から増え始めます。そのため、多くの職場や自治体の健診では胃カメラ検査・バリウム検査を40歳から受けることを推奨し、補助を出しています。
また、胃がんは早期発見によって、治療の選択肢が増え、完治の可能性が高まる疾患ですので、自覚症状がない段階から、定期的に検査を受けることが大切です。

胃カメラ検査とバリウム検査の違い

どちらも胃の状態を調べるためのものですが、検査方法や観察できる範囲などに違いがあります。

胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)バリウム検査(胃部X線検査)
検査方法先端にカメラの付いた細いスコープで、直接観察バリウム(白い造影剤)をのみ、X線で撮影
検査範囲食道・胃・十二指腸の内部胃の形・表面の凹凸
精度わずかな炎症や早期がんを見つけやすい小さな病変や凹凸のない変化は見つけにくい
検査時間約5〜10分
※鎮静剤を使用した場合は検査後に30分~1時間の休憩
約5分
確定診断生検※により可能不可(胃カメラが必要)
リスク・合併症麻酔薬のアレルギー、出血、穿孔など放射線被爆、バリウム誤嚥、腸閉塞など

※生検とは、検査中に病変が疑われる部分の組織をごく少量採取し、顕微鏡で詳しく調べる精密検査です。

胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)とは

胃カメラでは、先端にカメラのついたスコープを口や鼻から挿入し、食道・胃・十二指腸の一部を観察します。粘膜の状態を詳細に観察することで、わずかな炎症や早期のがんなども発見しやすい検査です。また検査と同時に生検を実施して、がんなどの確定診断をつけることができるという特徴もあります。

また、胃がんの原因の95%以上を占めるといわれるピロリ菌の感染についても、特徴的な胃炎の有無からある程度推測可能です。
当院ではピロリ菌検査も実施しており、感染が確認された場合には除菌治療も可能です(治療は健診・人間ドックとは別日にて保険診療となるため、要予約)。

一方で、バリウム検査と比較した場合には、やや検査時間が長く、費用も高くなる傾向があるため考慮が必要です。また胃カメラ検査では、スコープを挿入する際にオエッとなる嘔吐反射が生じることで、苦痛を感じる方も多くいらっしゃいます。
当院では精度の高い検査を安心して受けていただけるよう、胃カメラ検査は日本消化器内視鏡学会の専門医が担当。また苦痛や不安を和らげるため、以下のような取り組みもしています。

  • 鎮静剤(セデーション)使用を選べる
  • 経口もしくは経鼻挿入のどちらも選択可能
  • 検査前後に、検査内容やご不安な点についてご説明
  • 検査中も医師・看護師が寄り添い、背中をさすったり、楽な姿勢をサポート

鎮静剤使用の胃カメラ検査について

検査前に鎮静剤を注射することで、うとうとしている状態で検査を受けることができます。
ただ検査後は、しばらくの間は眠気やフラフラした感じが残るため、施設内にて30分~1時間ほど休憩いただきます。

イークでは鎮静剤使用の検査後は、プライバシーが保たれた「リカバリー室」へご案内。リクライニングチェアーにおかけいただき、ゆったりお休みいただけます。


鎮静剤を使用した場合は検査当日は自転⾞を含む車両の運転はできません。検査後の予定も踏まえて受診を検討するようにしましょう。
また緑内障や眼圧高値を指摘されている方は鎮静剤を使用できないこともあり、事前の眼科受診が必要となります。重症筋無力症やHIV治療薬を内服中の方は鎮静剤を使用することができません。

バリウム検査(胃部X線検査)とは

顆粒の発泡剤を飲んで胃を膨らませた直後に、バリウム(白い液体)を飲み、バリウムを胃の壁に薄くぬり広げて胃の形や表面の凹凸をX線撮影で観察する検査です。撮影台に乗り、色々な角度で胃を撮影していくため、胃の全体像を確認でき、検査時間は胃カメラと比較してやや短い傾向です。ただ、バリウム検査で異常が見つかった場合には、最終的に胃カメラ検査が必要です。また白黒の影絵を見ているような状態のため、凹凸の少ない病変や色調の変化などは認識できず、小さな病変や早期の胃がんは見逃されるリスクがあります。
検査後に関してはバリウムが腸に溜まりやすいため、下剤を飲み、排便を促す必要があります。

※バリウムは造影剤といわれ、胃の粘膜に付着させて粘膜の凹凸をX線撮影により写し出すための医薬品です。


イークではバリウム検査のご負担をできるだけ減らせるよう、以下のような取り組みをしています。

  • 経験豊富な放射線技師が、スムーズに検査が終わるようサポート
  • 検査前後で、検査内容やご不安な点についてご説明
  • スタッフが実際に試飲し、飲みやすいバリウムを採用

どちらを選べばいい?

それでは、胃の検査をする際、結局どちらを選べばいいのでしょうか?胃カメラ検査もバリウム検査も〝つらい〟イメージがあるからこそ迷われる方が多いかと思います。
それぞれの検査の特徴を踏まえたうえで、どのような方に向いている検査かを以下にまとめました。

胃カメラ検査が向いている方

  • 胃痛や胸やけなどの症状がある
  • ピロリ菌の感染歴がある
  • 過去に胃炎や胃潰瘍を指摘された
  • 胃がんが心配
  • 異常があった場合に、すぐに精密検査につなげたい

胃カメラは、お腹の中を直接観察できるため精度が高く、早期発見が重要な胃がん検査では、大きな役割を担っています。

バリウム検査が向いている方

  • 短時間で健診を終えたい
  • 費用を抑えたい
  • 胃カメラ検査への不安や恐怖感が強い
  • のどの反射が強い

バリウム検査は、多くの方が受診しやすい検査です。「まずは胃の検査を受ける習慣をつくる」という意味でも、重要な役割があります。

さいごに

胃の検査を選ぶ際、大切なのはそれぞれの特徴を踏まえたうえで「自分が無理なく受けられる検査はどっちだろう?」という視点を持つことです。そうすることで、検査を受ける一歩を踏み出せ、定期的な受診につながります。ぜひ本コラムを参考に、ご自身の心身の状態にあった検査を選んでみてください。

監修医
イーク渋谷
院長/内科
日下部 裕子