検査結果報告書の見方
内科 - 血液

検査結果報告書に記載されている検査項目について、結果の見方や考え方を分かりやすく解説します。

血液検査では、主に貧血、肝臓の異常、腎臓の異常、高脂血症、糖尿病などの病気を調べます。
また、女性に多い疾患で、甲状腺の働きや関節リウマチなどの検査もあります。基準値から多少外れていても病気とは限りません。
医師の判定を検査結果報告書でご確認ください。

血液一般

白血球数

細菌やウイルスと闘ったり、アレルギー反応を起こしたりと、体を外敵から守る仕事をしています。
感染や炎症、喫煙などで異常値になりますが、極端な高値や低値の場合、白血病などの血液疾患が疑われます。

血小板数

出血を止める働きをします。少ないと出血が止まりにくくなります。多すぎると血栓症のリスクが上昇します。
低値の場合は、血小板減少症、再生不良性貧血や白血病、肝硬変などが疑われ、高値の場合は感染、炎症、悪性腫瘍に伴う場合が疑われます。

赤血球数/ヘモグロビン/ヘマトクリット

全身に酸素を運ぶ大切な役割をしています。
赤血球が少ないことを貧血といい、貧血が進むと少し体を動かしただけで息切れや動悸が起こります。
また、脱水や、喫煙、睡眠時無呼吸などで赤血球が増えることがあり、多すぎると血液が濃くなり、流れにくく血管が詰まりやすくなります。

MCV/MCH/MCHC

赤血球の大きさを測定して、貧血の種類を調べます。赤血球が小さい場合は、鉄欠乏性貧血が疑われます。

血清鉄/総鉄結合能/フェリチン

赤血球を作るには鉄分が必要ですので、鉄が不足すると貧血になります。
この時、鉄を多く吸収するために総鉄結合能は上昇します。フェリチンは体内に鉄の貯蓄がどれだけあるかを表しています。
フェリチンが少ない場合は、鉄の補充を長期に継続することが大切です。

女性が貧血と言われたら…

月経のために女性は貧血になりやすく、鉄分不足による貧血であれば鉄の補充が有効です。
月経量が多い場合や長く続く場合は婦人科に相談することをご検討ください。
また、月経以外が原因の場合は内科での精密検査が必要です。

肝・胆・膵

AST(GOT)/ALT(GPT)

肝臓に多く含まれる酵素で、高値の場合は、肝臓・心臓・骨格筋等の臓器の細胞破壊が疑われます。

LD(LDH)

全身の細胞に含まれる酵素で、糖からのエネルギー作りに重要な役割を果たしています。
高値の場合は、心臓、肝臓等の各種疾患、悪性腫瘍や血液疾患などが疑われます。

γ-GTP

肝臓や胆道に障害があると高値を示し、特にアルコールに敏感に反応し、アルコール性の肝障害の目安になります。
禁酒することによって、減少が期待されます。

ALP/LAP

肝臓や胆道の疾患で上昇します。(ALPは骨にも含まれていて、骨折など骨の疾患でも上昇します。)また、妊娠中も高値になります。

ビリルビン

赤血球の中のヘモグロビンから作られる色素(胆汁に含まれる色素)で、肝臓病や胆石などの胆道を塞ぐ病気や溶血性貧血で高値となります。
正常でも体質性黄疸と言って上昇する人がいますが、病的意義はありません。

コリンエステラーゼ

酵素の一種で、肝硬変、農薬中毒など、肝臓が障害を受けると低値になります。高値の場合は、脂肪肝・ネフローゼ症候群などが疑われます。

総蛋白/アルブミン/A/G比

血液中の蛋白質の量や種類に関係していて、肝臓や腎臓などの病気や栄養状態が分かります。

HBs抗原

B型肝炎ウイルスに感染しているかを調べます。陽性の場合は精密検査が必要です。(過去の精密検査の結果、無症候性キャリアと診断されている方は定期的な肝機能検査・腹部超音波検査を受けてください。)

HBs抗体

過去にB型肝炎に感染した方や、予防接種(B型肝炎ワクチン)を受けた方は陽性になります。

HCV抗体

C型肝炎ウイルスに感染しているかを調べます。過去の感染でも陽性になります。陽性の場合は精密検査が必要です。

アミラーゼ

消化酵素の一つで、主に、膵臓や唾液腺から分泌されます。極端な高値の場合は膵炎や唾液腺の炎症が疑われます。

糖代謝

血糖

血液中のブドウ糖の濃度を調べる検査で、糖尿病の診断に重要な項目です。血糖値が高いまま放置すると腎臓病や視力低下、末梢神経障害などの合併症を生じます。126mg/dL以上は糖尿病、110~125mg/dLは境界型糖尿病の可能性がありますので、再検査や精密検査が必要です。

HbA1c

過去1~2ヶ月間の血糖の状態を示し、糖尿病の検査に用いられます。6.5%以上では糖尿病、6.0~6.4%は境界型糖尿病の可能性がありますので再検査や精密検査が必要です。

インスリン

インスリンは膵臓で作られているホルモンで、エネルギーとして必要なブドウ糖を全身の細胞に取り込ませる働きがあります。結果として、血液中のブドウ糖の量が一定以上に上昇しすぎないよう調節しています。インスリン値が高い場合は、インスリンが十分に働けない状態のために多くのインスリンを必要としている(インスリン抵抗性)と考えられます。肥満や運動不足を解消することでインスリン抵抗性の改善が期待できます。

尿糖

血糖値が160~180mg/dLを超えると、血液中の糖が尿に排泄されます。高血糖を推測する簡易な検査法です。腎性糖尿(高血糖ではないのに尿糖陽性となる)の場合は病気ではなく心配いりません。

糖代謝異常と言われたら…

アルコールや間食・寝る前の食事は控えるようにし、少しずつでも体を動かすようにしましょう。
内科医のもとで経過観察を受け、生活習慣についてアドバイスを受けることをお勧めいたします。

脂質代謝

総コレステロール/HDLコレステロール/LDLコレステロール/中性脂肪

コレステロールは細胞の増殖やホルモンの合成に必要不可欠な物質であるため、肝臓で合成されるほか、
食事からも吸収し一定量を保つように調整されています。
LDLの主な働きは「組織にコレステロールを届けること」で、HDLの主な働きは「組織のコレステロールを肝臓に回収すること」です。
LDLが酸化されたり、食事から吸収された中性脂肪が変性することで、動脈硬化や血栓症が起こりやすくなります。
また、HDLが少ない場合も動脈壁にたまったコレステロールが回収されないため、動脈硬化が進みやすくなります。

脂質異常と言われたら…

LDLや中性脂肪が高い場合やHDLが低い場合は、肉や卵などの摂取やアルコールを控えるようにし、少しずつでも体を動かすようにしましょう。
閉経が影響している場合には、糖尿病や喫煙などの他の動脈硬化の危険因子がないか確認しましょう。

腎機能

尿素窒素/クレアチニン/eGFR

腎臓は血液のフィルターとして老廃物を除去する重要な臓器です。尿素窒素・クレアチニンは腎機能が低下すると血中に蓄積します。eGFRは腎臓のろ過機能を示す指標です。低値は腎機能低下を示します。

甲状腺

甲状腺の病気は女性に多くみられます。甲状腺機能亢進症ではFT4・FT3が過剰に分泌されます。
甲状腺機能低下症ではFT4・FT3の分泌が不十分になります。FT4・FT3の僅かな過不足に敏感に反応して、TSHは上昇したり低下したりします。

TSH

脳の下垂体から分泌されるホルモンです。甲状腺を刺激してFT4・FT3の分泌を促します。

FT4/FT3

甲状腺から分泌されるホルモンです。

主な所見・診断

甲状腺機能亢進症(バセドウ病や甲状腺炎など)

FT4・FT3が多く分泌されるため、TSHは逆に低下します。

症状:甲状腺が大きく腫れる、脈が早い、手指がふるえる、たくさん食べているのにやせる

甲状腺機能低下症(橋本病など)

FT4・FT3が不足するため、FT4・FT3が低値になる前から、TSHが増加して甲状腺を刺激します。
症状:元気が出ない、さむがり、むくみやすい、便秘をしやすい

膠原病

CRP

感染、膠原病、がんなど体内の炎症や組織の破壊があると高値になります。

リウマトイド因子

陽性の場合、慢性関節リウマチが疑われます。関節症状(朝の手指のこわばり、関節の腫れなど)がある場合は精密検査を受けてください。
一部の健常者でも陽性になることがあります。

抗核抗体

膠原病のスクリーニング検査です。甲状腺疾患や肝障害のほか、一部の健常者でも陽性になることがあります。

生化学(尿酸・CPK)

尿酸

成人男性に多くみられますが女性でも尿酸値が高いと、痛風(関節炎)、尿路結石などの腎障害が生じます。水分を十分にとり、肉類やアルコールを控え、運動不足に気をつけましょう。

CPK

筋肉由来の酵素で、心筋梗塞や心筋炎などの病気や筋ジストロフィー(筋肉が萎縮する病気)などで高値となります。運動後や外傷、筋肉痛などでも上昇します。

電解質

ナトリウム/カリウム/クロール

神経や筋などの細胞の働きや水分の調節など、身体活動に欠かせない大事な物質で、常に一定になるように厳密に調整されています。腎臓の病気や、下痢や嘔吐を繰り返すとき、副腎や甲状腺ホルモンの異常、利尿剤の服用時に異常値となります。

カルシウム

骨や歯の形成、神経の働きや筋肉の収縮、血液の凝固の調節など、いろいろな働きをしています。カルシウム不足になると骨を溶かして必要なカルシウムを確保します。副甲状腺の異常やビタミンDの過不足、腎疾患、骨疾患で異常値になります。

腫瘍マーカー

腫瘍マーカーとはがんなどの腫瘍により血中にふえる特殊な物質です。マーカーの値には個人差があるため、がんを早期に発見する確実な検査方法ではありませんが、消化器や婦人科系のがんを発見する補助的な検査として有効です。

腫瘍マーカーの上昇する疾患(代表的なもの)

悪性疾患良性疾患健常者
α-FP肝臓がん、胃がん、膵がん、胆道がん、大腸がん、卵黄のう腫瘍肝硬変、肝炎妊娠後期
CEA消化器系(胃・大腸がん)、肺がん、卵巣がん、乳がん肝炎、糖尿病喫煙
CA19-9膵がん、胆道がん、胃がん、大腸がん、卵巣がん、肺がん子宮内膜症、卵巣のう腫、気管支拡張症、膵臓や胆道の炎症
CA125卵巣がん、子宮体がん子宮内膜症妊娠初期、月経時
PSA前立腺がん前立腺肥大、前立腺炎加齢