
子宮頸がん啓発キャンペーン
はじめに
女性のための健診センター・イーク渋谷は、2025年4月より子宮頸がんの啓発キャンペーンを展開しています。
子宮頸がんは、結婚や出産、子育てなど女性にとって大きなライフイベントが多く発生するであろう20~30代での発症が多く、毎年約1万人が新たに診断され、約3,000人もの方が亡くなっています。しかしながら、子宮頸がんはワクチンによって防げる唯一のがんであることは、十分に知られているとは言えないのが現状です。
私たち、女性のための健診センター・イーク渋谷は、防げたはずの子宮頸がんで苦しむ女性やそのご家族を1人でも減らしたいという想いで、今回の啓発キャンペーンを行うことといたしました。
※本ページでは子宮頸がん・HPVワクチンについての情報提供を目的としています。より詳細な内容については、健診受診時またはイーク渋谷の外来で当院の医師にご相談ください。
そもそも子宮頸がんって?
どんな病気?
子宮頸がんとは、主にHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因となって子宮頸部に発生するがんです。HPVは性交渉によって感染し、女性が人生に一度は感染する可能性があると言われています。多くの場合、免疫力によって自然にHPVは体外に排除されますが、一部は体内に留まり続けてがんになる場合があります。
子宮頸がんは、20~40代の女性が発症することが多く、毎年約1万人が新たに診断され、約3,000人もの方が亡くなっています。一生のうちで1万人のうち125人が子宮頸がんを発症し、1万人のうち34人が亡くなっています。これは小中学校でイメージすると、2クラスに1人は子宮頸がんになる方がいて、1学年に1人は子宮頸がんで亡くなるようなイメージになります(1クラス女子35人の場合)。
このように子宮頸がんは、若年女性が発症するがんの中では死亡率も高い身近ながんのため、予防と早期発見が重要です。


妊娠・出産、その後のライフステージに影響する?
がんになる前(異形成の段階)や、初期段階で発見できれば、子宮頸部の一部を切除する方法で治療できるため、子宮のほとんどを残せ、その後の妊娠・出産も可能です(早産のリスクは高まります)。
がんが進行してしまうと、子宮や周辺臓器の切除、放射線、化学療法(抗がん剤治療)による治療が必要となり、妊娠・出産に大きな影響が出てくる可能性があります。
こうしたことからも、ワクチンや健診(検診)で予防・早期発見に取り込むことが重要です。
子宮頸がんはワクチンで予防できるがん

子宮頸がんは主にHPVというウイルスが持続的に感染することで発症します。
HPVが体外に排出されず感染した状態が1年以上持続すると一部の細胞が前がん病変細胞に変化。この段階になってようやく子宮頸がん検診(婦人科内診)で発見することができます。
さらにこの前がん病変が周囲に広がってしまうと子宮頸がんになります。HPVに感染した細胞の一部ががんになるまでには、平均5年から10数年かかるとされています。
この子宮頸がんの原因となるHPVの感染自体を防ぐのがHPVワクチンです。ほかのがんとは違い、子宮頸がんはワクチンで防げるがんなのです。
※すでにHPVに感染しているかどうかを調べる「ハイリスクHPV検査」という検査もあります。こちらはオプション検査となりますので、WEB問診票の回答時にお申し込みいただくか、健診当日に受付でお申し込みください。
ワクチンを接種するには?
どこで接種できる?
イーク渋谷ではHPVワクチン接種を行っています。ご希望の方は健診当日に渋谷院受付でご相談いただくか、直接お電話で事前に予約をお取りください。ご自身がワクチン接種の対象者か迷われる場合は、ページ末のワクチン接種に関するQ&Aをご参照ください。
イークで健診を受診された方/受診される予定の方はもちろん、受診者様のご家族やご友人など、受診者様以外の方も接種いただけます。ただし、ご予約の際は、接種を希望するご本人がご予約ください。
イーク渋谷
お電話の際は「HPVワクチン接種希望」とお伝えください。
東京都渋谷区桜丘町1-4 渋谷サクラステージSHIBUYA SIDE 1F
アクセス:JR各線 渋谷駅 ー 新南改札口 徒歩3分 / 東急東横線・東京メトロ各線 渋谷駅 ー C2出口 徒歩5分 / 京王電鉄井の頭線 ー 中央改札 徒歩5分
イーク以外での接種以外での接種をご希望される場合は、お近くの医療機関または市区町村へご相談ください。
接種スケジュールは?
間隔を空けて合計3回接種する必要があります。

イークで取り扱っているワクチンの場合、1回目接種の2ヶ月後に2回目、2回目接種の4ヶ月後に3回目の接種が必要です。たとえば、1月に1回目接種した場合だと、3月に2回目、7月に3回目を接種するようなイメージです。
もしスケジュール通りに接種することが難しい場合は、2回目は1回目から1ヶ月以上、3回目は2回目から3ヶ月以上空けて接種するようにしてください(イークで扱っているワクチンの場合)。
接種費用は?
自費での接種になり、全額自己負担となります。イークで接種する場合は1回の接種あたり約2.5万円、3回の接種で合計約7.5万円かかります。1回の接種ごとのお支払いが必要です。お支払いには、現金、クレジットカード、PayPayがご利用いただけます。
副反応がご心配な方へ
どんな副反応がある?
接種部位の痛み、腫れ、発熱など軽度の症状が多く、通常数日でおさまります。接種との因果関係が不明なものや接種後短期間で回復したケースも含め、接種後に重篤な症状が発生したのは、1万人あたり3~5名です。
接種後に何か気になる症状が出た場合は、すぐに当院またはお近くの医療機関にご連絡ください。また各都道府県には適切な診療を提供する協力医療機関が少なくとも1つ選定されており、必要に応じて紹介を受け、受診いただける体制になっています。
イーク以外での接種以外での接種をご希望される場合は、お近くの医療機関または市区町村へご相談ください。
それでも心配です
HPVワクチン接種後に副反応と見られる症状を訴える方がいらっしゃったため、厚生労働省は安全性を確認するために積極的なワクチン接種勧奨を2013~2021年にかけて中止していました。
しかし、その後の調査で副反応と見られた反応のほとんどが予防接種ストレス関連反応で説明がつくことが分かり、安全性が確認できたことから、2022年から積極的な接種勧奨を再開しています。またWHOが安全性確認を繰り返して重大な有害事象がないことが確認されています。
接種する前に医師と相談したい方へ
イーク渋谷院では、安心してワクチン接種していただくために、さまざまな不安や疑問にお答えするワクチン接種相談外来(対面でご対応)を設置しています。ご希望の方はイーク渋谷の受付、または直接お電話にてご予約ください。相談のみの場合は、初診料3,410円(税込)がかかります。
イーク渋谷
お電話の際は「HPVワクチン接種希望」とお伝えください。
東京都渋谷区桜丘町1-4 渋谷サクラステージSHIBUYA SIDE 1F
アクセス:JR各線 渋谷駅 ー 新南改札口 徒歩3分 / 東急東横線・東京メトロ各線 渋谷駅 ー C2出口 徒歩5分 / 京王電鉄井の頭線 ー 中央改札 徒歩5分
ワクチン接種に関するQ&A
※Q&Aよりも詳しい内容をご質問されたい方は、健診受診時または外来受診時に当院の医師にご相談ください。
自分は接種の対象?接種できる?
日本産婦人科学会のガイドラインでは、10~45歳まで広い年代の女性に対して接種が推奨されており、特にセクシャルデビュー前の10~14歳での接種が強く推奨されています。46歳以上の方については、ガイドライン上で推奨はされていませんが個別に医師と相談の上で接種をご検討いただくことはできます。
はい、定期接種の対象である12~16歳でもセクシャルデビュー後でも、HPVワクチン接種は有効と考えられます。HPVには、子宮頸がんを引き起こすハイリスクな型が複数あり、セクシャルデビュー前であれば、そのどれにも感染していない可能性が高いためワクチンの有効性がもっとも高くなります。しかし、セクシャルデビュー後であっても、未感染のハイリスク型の感染をワクチンで予防できるため接種する意味はあると考えられます。
現在妊娠中・妊娠予定がある場合:妊娠中の接種は推奨されていないため、現在妊娠中、または妊娠の予定がある場合は接種をお控えた頂いた方がいいと考えられます。接種を希望される場合は主治医とご相談ください。
不妊治療中の場合:生殖機能に影響を与えるという報告はありませんが、不妊治療により妊娠の可能性があるため、接種を希望される場合は婦人科医もしくは主治医とご相談ください。
授乳中の場合:授乳には影響しないため接種をして頂いても差し支えありません。ただし妊娠予定がある場合は、接種を控えるか主治医とご相談ください。
はい。低用量ピルを服用されていてもワクチン接種はできます。低容量ピルを服用されて、コンドームなど他の避妊行動を取られていない場合は、HPV感染のリスクが高まりますので、この機会にぜひ接種をご検討ください。もし不安なことがあれば、婦人科医もしくは主治医にご相談ください。
十分な予防効果を得るためには、決められた回数の接種が必要になります。できるだけ早めに残りの回数を接種するようにしてください。
婦人科医または主治医と相談の上で接種を検討してください。
以下に当てはまる方は接種の際に注意が必要になりますので、医師とご相談の上で接種をご検討ください。
・血小板減少症や凝固障害がある方
・心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患がある方
・予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた方
・過去にけいれんの既往のある方
・妊娠または妊娠している可能性のある方
・ワクチンを接種した後や、けがの後等に原因不明の痛みが続いたことがある方
がん検診とワクチン接種
ワクチン接種は子宮頸がんの原因となるHPVへの感染を防ぐための「一次予防」、がん検診は子宮頸がんあるいは子宮頸がんの前段階(前がん病変、子宮頚部異形成)での早期発見のための「二次予防」です。がん検診とワクチン接種はそれぞれ役割が異なり、どちらも受けることがより有効な子宮頸がんへの備えになります。特に20~30代で発症する子宮頸がん予防において、ワクチンの効果が期待されています。
いいえ、HPVワクチン接種で子宮頸がんを100%予防できるわけではありませんので、ワクチン接種後も定期的な検診を受けていただくことが重要です。
異常を早期発見するため、定期的ながん検診を受けることが重要です。
その他
定期接種対象外(高2相当の年齢以上)の場合は当院で接種できますので、窓口または電話にて予約をお取り下さい。
小6~高1相当の年齢の場合は定期接種の対象ですが、イークでは定期接種を行っていません。もしイークでの接種をご希望される場合は、自費での接種になりますのでご了承ください。もし定期接種をご希望される場合は、お住まいの自治体へお問い合わせください。
男性がワクチンを接種することで、中咽頭がん、肛門がん、尖圭コンジローマなどの原因と考えられているHPVに男性自身が感染することを防ぐ効果が期待できます。また、男性がワクチン接種することで、上記のがんなどの病気を予防できるだけでなく、社会全体でのHPVの感染拡大を防いだり、結果的に将来のパートナーの子宮頸がんの予防につなげられる可能性もあります。
男性(男児)の場合も女性と同じように一定の間隔を空けて3回の接種が必要となります。大変申し訳ありませんが、イークでは男性の接種は行っていないため、お住まいの自治体または地域の医療機関へお問い合わせください。
はい。パートナーの方も接種された方がより有効ではありますが、ご本人だけが接種された場合でも十分有効だと考えられます。
より詳しい情報が必要な方へ
厚生労働省や日本婦人科学会などでは、子宮頸がん、HPVワクチンに関する情報発信をしています。より詳しい情報が必要な方は以下のリンクに掲載されている情報も合わせて参考にしてください。
子宮頸がんについて
国立研究開発法人がん研究センター
日本産婦人科学会
日本対がん協会
HPVワクチンについて
※厚生労働省が国民向けに発信している子宮頸がん・HPVワクチンに関する情報が一通り網羅されています