乳がん検査の選び方
2つの乳がん検査-マンモグラフィ検査と超音波検査-
乳がんを調べる検査として一般的なのは、マンモグラフィ検査と超音波検査です。
2つの検査にはそれぞれ長所と短所があります。
検査の種類 | 長所 | 短所 |
---|---|---|
マンモグラフィ | ・触診や超音波でしこりを認めない乳がんでも石灰化、乳腺のゆがみから乳がんを発見できる。 ・石灰化の性状や範囲がわかる。 | ・痛みを伴うことがある。 ・年齢(若い人)、乳腺量の個人差により詳細な診断ができないことがある。 ・妊娠中、またはその可能性がある時は検査をおこなえない。 |
乳腺超音波 | ・数ミリの小さなしこりを見つけやすい。 ・しこりの性状がわかりやすい。 ・妊娠中でも可能な検査である。 | 細かい石灰化や性状、範囲は確認できない。 |
出典:患者さんのための乳がん診療ガイドライン2014年版より一部改訂
年齢に合ったおすすめの乳がん検査
イークでは、特別な理由がない限り35歳未満の方には超音波検査を、35歳以上の方にはマンモグラフィ検査と超音波検査の併用をおすすめしています。
35歳未満の方に超音波検査のみをおすすめする理由
35歳未満の女性は乳腺が発達しているため、マンモグラフィ検査では乳房全体が白っぽく写る傾向にあり、悪性の疾患を見つけにくい可能性があります。一方、良性の疾患(乳がん以外の所見)は見つけやすい傾向にあるため、精密検査が必要と判断せざるをえない所見が見つかるケースも多く、(結果的に良性の疾患だった場合には)不要な精査を受けることになるため、イークでは35歳未満の方には超音波検査のみを推奨しています。
乳がんのリスクが一番高い年代は40代から50代です。その時期にあわせ、マンモグラフィ検査と超音波検査を組み合わせた検査を行い、乳がんの早期発見を目指します。
35歳未満の方でもマンモグラフィ検査をおすすめする場合
乳がんがどのようにできるのかは未だはっきりしたことは分かっていませんが、発症リスクを高める要因はいくつかの研究で示されています。以下の特徴にあてはまる方は、マンモグラフィ検査と超音波検査の併用をご検討ください。
1.月経のある期間が平均より長い
- 初経年齢が11歳以下
- 閉経年齢が55歳以上
- 出産経験がない方
- 初産を経験した年齢が30歳以上の方
2.閉経後の肥満
3.母親、子、姉妹など近親者に乳がんになった方がいる(遺伝性乳がんを考慮すべき状況)
4.避妊薬のピルや女性ホルモン剤の常用
5.過度な飲酒
6.成人期の高身長
7.喫煙(受動喫煙でも乳がん発症リスクが増加する可能性がある)
8.糖尿病
出典:日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2014年版
マンモグラフィではなにを調べるの?
マンモグラフィは、石灰化をともなう乳がんを見つけることに優れた検査です。マンモグラフィにより撮影された画像は、乳房の脂肪組織が黒く、しこりや石灰化が白く写し出されます。これらの影が映し出された画像を乳腺科の医師が診断します。
超音波検査はどうやって検査するの?
ベッドに横になり乳房の上から超音波(エコー)をあてて映るしこりが、良性か悪性かを詳しくみます。超音波検査自体に痛みを伴うことは一切なく、放射線被爆の心配もありません。しこりの形、しこりの周りの状態(周辺)などが、不規則ではないか、などを確かめます。