乳がんって何?
乳がんとは
乳房は出産時に乳汁を分泌する役割を持つ皮膚の付属器官で、大きくわけて乳腺と脂肪から成り立っています。ほとんどの乳がんが発生するのは乳腺からで、乳腺内の枝分れした細い乳管上皮に発生することが多いです。また、乳管の末端であり小葉の一部である終末乳管や乳頭乳管開口部の上皮からも発生します。
乳がんが発生した場合に一番転移しやすい部位がリンパ節で、その中でもワキのリンパ節へ転移する可能性が高いです。年に1度の定期的な検診も大切ですが、乳がんをいち早く発見するためには、乳房にあらわれるちょっとした変化を見逃さないことが必要です。月経が終わってから1週間後くらいを目安に、月に1回の自己検診を習慣にしましょう。閉経後の方は、毎月日にちを決めて続けていきましょう。
原因や予防方法は?
乳がんは遺伝する、出産経験のない女性が乳がんになりやすい、ということを聞いたことがある方もいるかもしれませんが、乳がんの直接的な原因についてはまだはっきりしたことはわかっていません。
ただ発症リスクを高める要因は明らかになりつつあります。下記の「乳がんのリスクが高い方の特徴」があてはまる場合は、20代や30代前半でも超音波検査に加え、マンモグラフィ検査の併用をご検討ください。
乳がんのリスクが高い方の特徴
1.月経のある期間が平均より長い
- 初経年齢が11歳以下
- 閉経年齢が55歳以上
- 出産経験がない方
- 初産を経験した年齢が30歳以上の方
2.閉経後の肥満
3.母親、子、姉妹など近親者に乳がんになった方がいる(遺伝性乳がんを考慮すべき状況)
4.避妊薬のピルや女性ホルモン剤の常用
5.過度な飲酒
6.成人期の高身長
7.喫煙(受動喫煙でも乳がん発症リスクが増加する可能性がある)
8.糖尿病
出典:日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2014年版
遺伝性乳がんを考慮すべき状況とは?
乳がんを発症した方のうちの10%は遺伝性であると言われますが、それを判断するには専門家の詳しい評価が必要です。
家族性・遺伝学的因子は下記のとおりです。
- がんの発症リスクを高める遺伝子(がん感受性遺伝子)の既知の変異を有する近親者
- 年齢を問わず、1人の近親者に原発性乳がんが2つ以上ある
- 年齢・性別を問わず、一方の家系(母方または父方)に原発性乳がん患者が2人以上いる
- 原発性浸潤性卵巣がんの患者がいる
- 第一度(両親、子ども、兄弟姉妹)、または第二度近親者(祖父母、叔父、叔母、甥、 姪、孫)に、45歳以下で乳がんを発症した者がいる。
- 以下の既往歴、および/または家族歴が3つ以上認められる
膵がん、前立腺がん、肉腫、副腎皮質がん、脳腫瘍、子宮内膜がん、甲状腺がん、腎がん、
皮膚症状、および/または巨頭症、過誤腫性消化管ポリープ、またはびまん性胃がん - 遺伝的に特定の疾患にかかる可能性が高い(遺伝学的素因の頻度が高い)家系
- 男性乳がん
参考:NCCN Guidelines Version2.2015
イーク丸の内で乳がん検診を受ける方で、相談を希望する方は「乳腺科カウンセリング(オプション)」を追加することができます。乳腺外科の医師が当日に検査結果をお伝えし、今後のリスクにあわせた乳がん検診の受け方のアドバイスをいたします。何か異常がある場合にはその場で説明を行い、精密検査(後日)の予約を取ることができます。これにより結果報告書が届くより前に治療に進むことができます(報告書は通常3週間後のお届けです。)
どうやって検査するの?
乳がんをいち早く発見するためには、乳房にあらわれるちょっとした変化を見逃さないことが必要です。
視診は、目で見て観察する方法です。乳房が左右対称か、変形や乳頭・乳房の皮膚に変化がないかを見ます。触診は、指で触れ観察する方法です。
乳がんが見つかったら?
乳がんは正しい診断と、治療の継続で完治をのぞめる病気です。
当院の乳腺外科で確定診断を受けられた方には、受診者様のお住まいの近くの病院や、ご希望の病院にあてた紹介状をご用意します。その後、病院の治療方針に基づき治療にのぞんでいただきます。
当院の乳腺外科で確定診断を受けられた方で、かかりつけの病院がない方には、当院の医療連携先である聖路加国際大学病院のブレストセンターを優先して紹介します。(ご自身でお問合せいただくよりもスムーズに、最短の日程で初診のご予約を確保できるようサポートします。)当院には聖路加国際病院乳腺外科所属の医師、勤務経験をもつ看護師が在籍しておりますので、病院への紹介後の流れなどについてもお伝えできます。