疾病を知る

更年期障害って何?

2025.08.21最終更新

監修医
イーク渋谷
婦人科
豊泉 理絵

ほてりや冷え、食欲不振、不眠などの不調から「更年期では?」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。そもそも更年期障害とはどういったものか、また予防や治療は可能かについてご紹介します。

更年期障害とは

更年期とは、閉経をはさんだ前後5年間の約10年間をさします。卵巣の卵胞機能の消失により、永続的に月経が停止することを閉経といいます。日本女性の閉経の平均年齢は50歳くらいといわれますので、個人差はありますが多くの女性にとって45歳から55歳くらいが更年期といえます。

卵巣の機能は、40歳をすぎた頃から徐々に低下しはじめます。卵巣が分泌できる「エストロゲン」(女性ホルモン)が減少すると、ほてり・のぼせ・冷えなどの不調が現れます。このような症状を更年期症状といいます。さらに、これらの症状が日常生活に影響を与え治療が必要となるケースを更年期障害といいます。

身体的な症状と精神的な症状がみられます。主な症状は次のとおりです。

  • のぼせ、肩こり、ほてり、発汗、口の渇き、のどのつかえ
  • むくみ、冷え
  • 食欲不振、吐き気、便秘、下痢、腹痛
  • 痺れ、知覚過敏、関節痛、筋肉痛
  • 頭痛、めまい、耳鳴り、物忘れ、集中力の低下、不眠、不安感、疲労感
  • うつ症状
  • 動悸、息切れ
  • 皮膚や粘膜の乾燥・かゆみ
  • 膣炎・性交障害

原因や予防方法は?

更年期障害は、エストロゲンが急激に減少することでホルモンバランスが乱れることが原因になるほか、女性ホルモンをコントロールする脳の視床下部、自律神経のバランスの乱れによっても起こります。加えて、家庭や職場など環境からの様々なストレスや、本人の性格などが大きく影響することもあります。

更年期障害は完全な予防は難しいものの、バランスのよい食事、適度な運動、質の高い睡眠、心身のリフレッシュなど生活習慣を整えることで悪化を防ぎ、症状を軽減することができます。健康や生活習慣を見直す良い機会と捉え、規則正しい生活を心がけることが改善につながります。

受診は必要?

体調の変化や症状がつらいと感じられた時は、「更年期だから」と我慢せず医療機関におかかりください。その症状の原因が別の重篤な病気であった場合のリスクを減らせます。

また、日常生活に影響を与えるほどではないが、更年期の体の変化が少し気になる、動脈硬化や骨粗しょう症の予防など、この先のQOL維持・向上のためにできることははじめたい方もお気軽にご相談ください。

また今後の対処法や治療の選択肢を知り、女性特有の体の変化と上手におつきあいいただく手助けとなれば幸いです。

更年期症状があったら?(治療を含む)

更年期障害の治療法として、ホルモン補充療法や漢方薬が一般的です。そのほか、カウンセリングや個々人の症状にあった薬の投与が考えられます。

ホルモン補充療法(HRT)
経口剤、または経皮剤(貼り薬、塗り薬)により、エストロゲンを補充します。

漢方薬による治療
抗うつ薬・抗不安薬などによる治療

イーク表参道では、内科外来にてプラセンタ注射も行っております。個人差はありますが、更年期の症状の改善・緩和を期待できることが報告されています。ご興味がある方はイーク表参道内科外来をご予約ください。

※プラセンタ:胎盤抽出物を主成分とした製剤

よくある質問

更年期は何歳くらいからはじまり、どのくらい続きますか?

個人差はありますが、一般的には閉経をはさんだ前後10年(多くの女性は45歳~55歳)を更年期と呼び、症状が出やすい時期とされています。

生活に影響するような不調はないけれどご自身の女性ホルモン値が気になるという方には、人間ドックや婦人科検診でイークへお越しの際に「女性ホルモン検査(オプション料金:6,270円税込)」の追加をご検討ください。

(40代後半の方)これまで順調だった月経の周期がずれてきました。このまま様子をみていればよいでしょうか?

日常生活に影響のある症状がない場合も、ご心配な点がある場合は、一度婦人科にかかっていただくことをおすすめします。年齢による月経周期の乱れの可能性が考えられますが、別の可能性を否定する(他の疾患ではないことを確認する)ためにも定期的な子宮がん検診は続けてください。

(30代後半の方)以前よりイライラを感じたり憂鬱になったりすることがよくあります。若年性更年期が心配なのですが、婦人科と心療内科とどちらの診療を受けたらよいですか?

まずは婦人科におかかりください。必要に応じ、問診、一般的な内診台での検査、血液検査などをおこないます。その結果により、今後の方針を決めていくこととなります。

監修医
イーク渋谷
婦人科
豊泉 理絵